icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床眼科31巻8号

1977年08月発行

臨床報告

光凝固によるOptic Pitの2治験例—とくに黄斑部剥離に対する早期効果について

著者: 横山実1 松永功1 宇治幸隆1

所属機関: 1三重大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.1083 - P.1089

文献概要

緒 言
 視神経乳頭の先天異常であるOptic pitは,その約1/3の症例に黄斑部の剥離あるいは変性を伴い1〜3),視力,視野の障害を来しうることが知られている。黄斑部剥離の発生原因については未だ定説がないが,Sugar5)は硝子体液がpitを通じて黄斑部の網膜下へ侵入する経路を想定し,もしこの"channel"が網脈絡膜の癒着によつて閉塞すれば自然治癒もありうると考え,またそのような症例の報告も行なつている4)。それについては異論もあるが,もし人工的にそのような閉塞を発生させ,黄斑部剥離を消腿せしめうるならば,Sugarの仮説にとつて一つの有力な裏付けとなる。そして,本症の1例に,乳頭縁に沿う光凝固を適用したJack6)は,2カ月後に黄斑部の変化が改善し,視力も回復したことから,まさにSugarの見解と両立する事実であると報告した。その後,本症に対する光凝固有効例の報告7〜9)が相次ぎ,pitを通じての体液侵入説は確立されたかに思われたが,最近,Gass11)は自験例も含めて,一般に治療から剥離網膜の復位までに長期間を要するところから,自然治癒との判別が明確でないという疑義を提唱している。彼自身,髄液を含む体液侵入論10)の支持者の1人ではあるが,それが確立されるためには,光凝固後,数日ないし数週以内に網膜下液の消褪がみとめられねばならないと述べている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら