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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科32巻1号

1978年01月発行

文献概要

連載 眼科図譜・242

水晶体後嚢損傷による外傷性白内障

著者: 内野允1 清水昊幸1 金上貞夫1

所属機関: 1自治医科大学眼科学教室

ページ範囲:P.6 - P.7

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〔解説〕
 眼球に鈍的な外傷を受けて,その外傷のために水晶体後嚢が損傷され,白内障をおこした症例を2例経験した。
 症例1:10歳の男子。1975年11月17日初診。1ヵ月前に直径約5cm大の粘上の固まりを至近距離から投げられたのが左眼に当たる。同年4月の学校健診で1.2あつた裸眼視力が受傷後急激に低下した。初診時視力は10cm指数弁で矯正不能であつた。前眼部所見は図1のように角膜・強膜・結膜には異常を認めない。水晶体は全体に白内障をおこしていて,その中心部は混濁がやや薄くなつていた。細隙灯検査では図2のように胎生核と思われる部分は中空になつていて,透明に見える。更に水晶体の後方かつ下方に白い固まりがあり,これは硝子体中に飛び出した水晶体の核である。Cloquet Canalに入つていたことが,後に手術中に確認された。手術は全身麻酔下に角膜輪部から佐藤氏刀を入れて,水晶体前嚢を十分に切裂し,次にこの創孔から涙嚢洗浄針で人工房水を注入後水晶体実質を吸引する操作を繰返し行つた(詳細は本文171頁)。硝子体内に脱出していた核も吸引され,ほぼ全部の水晶体実質を吸引し終えた。現在はコンタクトレンズ装用で1.0の視力を得ている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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