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薬の臨床
糖尿病性網膜症に対するAdrenochrome monoaminoguanidine methansulfonateの治療効果の二重盲検法による臨床評価
著者: 福田雅俊1 田村正1 箕田健生2 河上勝美2 崎元卓3 常田孝和4 岩崎由雄5 杉浦良一5
所属機関: 1東京大学医学部付属病院分院眼科 2東京厚生年金病院眼科 3東京厚生年金愛記念病院眼科 4東京大学医学部付属病院第四内科 5東京大学医学部付属病院分院薬剤部
ページ範囲:P.1470 - P.1474
文献購入ページに移動糖尿病性網膜症に対する臨床研究は近年世界各国で進められているが,今日までのところ残念ながら有効確実な治療薬剤は開発されていない。本症の治療には糖尿病自体の適正管理が第一に必要であるが,網膜に出血斑が多発して来ると何等かの止血剤による全身療法も加味されているのが現状である。
福田は本症が螢光造影上血管閉塞性病変であること1,2),本症の増悪期(特に出血,軟性白斑の出現時)には線溶能の低下,血液凝固傾向の亢進を認めることが多いこと3,4()などから,本症の治療に使用される止血剤は血液凝固を促進するものではなく,血管強化性の薬剤でなければならないと主張して来た5)。今回,われわれは血管強化性止血剤6,7,8)であるAdrenochrome monoamino-guanidine methansulfonate (AMM と略,商品名S・アドクノン錠30)の糖尿病性網膜症における出血に対する治療効果を二重盲検法により検討した結果,一応有効と判定すべき成績を得たのでここに報告する。なお,共同発表者の杉浦は解析を担当し,岩崎はコントローラーとしてこの研究に参加した。
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