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特集 第31回日本臨床眼科学会講演集 (その2) 学会原著
Behçet病の抗凝固療法について
著者: 安藤文隆1 松捕雅子1 佐竹成子1 加藤美代子1 鯉江捷夫2 神谷忠2 緒方完治2
所属機関: 1名古屋大学医学部眼科学教室 2名古屋大学医学部第一内科学教室
ページ範囲:P.301 - P.307
文献購入ページに移動Behçet病患者のブドウ膜炎発作のmechanismは未だ不明であるが,Chajek1)はフィブリノゲン量の増加,血液凝固第Ⅷ因子活性の著明な亢進を報告した。わが国でも,中山2)が血小板粘着能および血小板のADP凝集能の亢進している症例の多いことを報告している。
一方,Behçet病患者では,血沈値の促進している症例の多いこと3)はよく知られているが,我我は,この血沈促進因子として,フィブリノゲンが最も高い正の相関関係にあることを既に報告した4)。そしてさらに血液凝固能については,血小板凝集能の亢進,活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)の短縮傾向,フィブリノゲン量の増加,血液凝固第Ⅷ因子(AHF)活性の増加が見られるなど,一般に凝固亢進状態にあり,またhemocoagulaseの筋注により症状の悪化すること5)も知つた。さらに,眼症状の寛解時と発作時についてみると,特に発作時にAHF活性の亢進が著明で,同時に測定したAHF様抗原量はさらに増量しており,眼局所における血栓形成傾向を裏づけていることも報告した6)。
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