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臨床報告 カラー臨床報告
Iris medallion lens挿入後にみられた角膜内皮ジストロフィーの1例
著者: 西興史1
所属機関: 1西眼科病院
ページ範囲:P.327 - P.331
文献購入ページに移動1957年Binkhorstが従来の人工水晶体の改良型である,Iris clip lensを使用することによつて,人工水晶体は実用化の時代に入り,現在オランダを始め,ほぼ全世界で広く使用されるに至つた。わが国では,竹内1),早野2),永田3),菅4),深道5),清水,三宅,杉田,西6)らが報告しているが,実際にはもつと多くの人が行なつていると思われる。合併症の防止や治療,また最終的な術式が充分確立されたとは言えないが,現実にその便利さについては,コンタクトレンズと両方経験した患者の言によつても裏付けられるように,比較にならぬ程,人工水晶体が良いと思われるので,今後術式の改良と共に広く普及すると思われる。
特に人工水晶体挿入自体によつて起こされる合併症中でもつとも恐れられているのは,角膜内皮ジストロフィー,Endothelial corneal dystrophy(以下ECDと略す)である。ECDは外国の文献によると0%7〜13)〜9.22%に発生を見ているが,わが国では,その報告はほとんどない。著者は,現在迄に,WorstのIris medallion lensを35眼(観察期間1カ月〜1年半)に挿入したが,その内1例に典型的なECDの発生を経験したので,文献的考察を含めて報告する。
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