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特集 第31回日本臨床眼科学会講演集 (その3) 学会原著
進行性錐体機能不全症
著者: 児嶋守1 桜井泉1 岩田和雄1
所属機関: 1新潟大学医学部眼科学教室
ページ範囲:P.409 - P.417
文献購入ページに移動網膜錐体機能の進行性,選択的,広範囲の障害が後天性におこり,視力・色覚障害,昼盲を主症状とし,先天性全色盲と類似の臨床像を呈する疾患は進行性錐体機能不全症cone dysfunctionといわれ,過去いくつかの報告2,3,5,8,10,12,14,15,18,21)がある。
本疾患は広範なcone dysfunctionを説明できる眼底所見に乏しく,Stargard病等の他の若年性黄斑部変性症とは区別される。しばしば球後視神経炎,弱視,ヒステリー,Albinismと誤診される8,10,12)。主症状は,視力低下,後天性色覚異常,昼盲などの明所視覚障害で,特に昼盲(差明)が特徴的とされる8,14)。桿体機能はほぼ正常で,一般に夜盲はない。本疾患の名称は報告者により異なり,cone dysfunction syndrome10),progressive cone Clegeneration3),progressive conedystrophy5)等がある。最近,Krill13)らは,本疾患が遺伝的傾向を示すことからdegencrationよりdystrophyを適切とし,progressiveの意を含めて,cone dystrophyと命名した。遺伝形式は多様であるが,常染色体優性3,5,13,21)の報告が多い。常染色体劣性8,10,14,18)や単独例2,18)の報告もある。
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