icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床眼科32巻3号

1978年03月発行

文献概要

特集 第31回日本臨床眼科学会講演集 (その3) 学会原著

メチルブロマイド中毒による眼障害

著者: 亀山和子1 土橋由美子1 内田幸男1

所属機関: 1東京女子医科大学眼科学教室

ページ範囲:P.437 - P.442

文献購入ページに移動
緒 言
 メチルブロマイド(臭化メチルCH3Br,以下MBと略す)は殺虫剤として穀類,木材,線維,土壌,倉庫などの燻蒸に広く用いられている。また化学工業ではメチル化剤としての用途をもつ。かつては消火剤として使用されたこともある。常温常圧で気体,液化すると無色の液体となる。沸点は4.6℃,融点は−93℃である。クロロフォルムに似た微臭をもち,気体は空気の約3倍の重さがある。
 MBによる中毒は今世紀初めから知られ,産業医学領域で問題とされてきた。中毒はMB製造工場,使用者などに主として見られている。大量のガス吸入による重症例では致死的であり,軽症や慢性中毒では多彩な神経症状が起こる。眼症状としては視力,視野,調節,眼球運動,瞳孔の障害などがあげられる。視力障害に関しては,中心暗点,視神経褪色の所見などを伴い,視神経障害を思わせる記載があり,球後視神経炎と診断した報告もある。しかしまだGrant著Ocular Toxi-cology1)のようにMBの視神経炎に疑問符をつけたものもある。Oettingenの著書2)にもふれられていない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?