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特集 第31回日本臨床眼科学会講演集 (その3) 学会原著
"Cherry-red spot"を呈した年長児の同胞例について
著者: 和田眞知子1 植村恭夫1 北川照男2 大和田操2
所属機関: 1慶応義塾大学医学部眼科学教室 2日本大学医学部小児科学教室
ページ範囲:P.443 - P.449
文献購入ページに移動Cherry-red spotは,Lipidosisの診断上重視される眼症状であり,Lipidosisの中でもTay-Sachs病,Niemann-Pick病などのSphingolipidosisおよびGeneralized GangliosidosisなどのMuco-lipidosisに出現する。これら疾患の典型的なものの,ほとんどは乳児期に発症するもので,親がこどもの視力がないことを心配して来院し,眼底検査の結果Cherry-red spotを認められ,Lipido-sis発見の端緒となることもある。Lipidosisは主に神経組織や,肝,脾,リンパ節などの細網内皮系組織に代謝物質が異常に蓄積するものであり,精神障害,知能低下,視力障害,痙攣,筋緊張異常,麻痺,肝脾腫など様々な症状を呈することで知られている。Lipidosisに関しては,近年の組織生化学,電子顕微鏡的観察法の進歩により,蓄積する物質名を中心として再編成される方向にむいており,研究者の関心がたかまつているもので,新しい角度よりの再検討がなされようとしている。
Cherry-red spotが,年長児期に発見されることは極めて稀であり,1933年にVillaniが報告して以来,現在までに21例の報告をみるにすぎない。
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