文献詳細
文献概要
特集 第31回日本臨床眼科学会講演集 (その4) 学会原著
先天性下直筋異常による上転障害について
著者: 丸尾敏夫1 久保田伸枝1 有本秀樹1
所属機関: 1帝京大学医学部眼科学教室
ページ範囲:P.581 - P.588
文献購入ページに移動1眼の上転障害としては,中枢神経性のdoubleelevator palsy,末梢神経性の動眼神経麻痺,筋性の内分泌性眼筋ミオパチー,機械的運動障害のblowout fractureをはじめ,多くのものが知られている。上転障害が下転筋の異常に起因するものとして,上述の内分泌性眼筋ミオパチー,blo-wout fractureのほか,動眼神経麻痺後の異常連合運動や垂直眼球後退症vertical retraction syn-dromeおよび上斜筋腱鞘症候群がある。
先天性の下直筋の拘縮あるいは付着部異常に起因する上転障害については,すでに二,三の報告はあるが,わが国では明らかな報告はないようである。私どもは帝京大学開院以来8例のこのような先天性の下直筋異常に起因する上転障害の症例を経験し,すべてに手術を行つて治癒あるいは軽快させた。外眼筋の筋電図検査を行つた症例では下直筋の異常神経支配を認め,下直筋の病理組織所見では,予想されていたfibrosisは否定された。
掲載誌情報