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特集 第31回日本臨床眼科学会講演集 (その4) 学会原著
眼底所見を伴わない全色盲3型の脳波—後頭部脳波のパワースペクトル
著者: 中塚利夫1 小野憲爾2
所属機関: 1長崎大学医学部眼科学教室 2長崎大学医学部第二生理
ページ範囲:P.633 - P.638
文献購入ページに移動全色盲でもつとも良く知られているのは先天性で桿体一色覚と呼ばれるものであるが,近年,類似した臨床像を呈する後天性のものの存在が報告されている。一般に進行性錐体ジストロフィーなる名称が用いられているこの病型は,視力障害,色覚障害,昼盲は共通するものの,眼底所見とりわけ螢光眼底写真で黄斑部に異常を有する点が異なる1〜3)。最近,大庭は眼底所見を伴わない進行性錐体ジストロフィー(unusual form)を詳細に報告し,新しい臨床疾患である可能性を提言した4〜6)。実際このような症例は存在すると老えられるが7),その場合,発症の時期,進行性の有無等の既往歴が明確でないと鑑別の困難さが当然ながら予測される。
今回,著者はこの両者に中枢性の後天性全色盲を加え,従来の報告ではみられない脳波の検討を,主としてパワースペクトルの面から行なつた。その結果,これら眼底所見を伴わない全色盲の後頭部脳波は特徴ある所見を呈し,診断的価値が高いものに思えたのでここに報告する。
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