連載 眼科図譜・246
眼白子症(伴性型)の遺伝的保因者の眼底所見
著者:
粟屋忍1
岩村百合子1
安間哲史1
杉田潤太郎1
市川宏1
所属機関:
1名古屋大学医学部眼科学教室
ページ範囲:P.750 - P.751
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羞明,眼振,視力障害を主訴とする2歳の男児にOcular Albinismが診断された。角膜径が左右12.5mmで稍々大きいが混濁はなく,全身麻酔下の眼圧は正常値を示した。虹彩は正常の禍色を呈したが透光性がつよく眼底は鮮明な赤色で脈絡膜の血管が著明に透見され,中心窩反射や黄斑反射はみられず中心窩の形成不全がみられ典型的な白児眼底の所見を呈した。頭髪や皮膚には白児の所見がみられずX-linked Ocular Albinismと老えられた。母親の眼底には両眼とも後極より周辺に至るにつれて著明な黄白色調と褐色調の入り混じつたモザイク様所見がみられ,この疾患のGcnetic Carrier独特の所見がある。母親の姉妹2人にも同様の眼底所見がみられた。家系図に示すごとく,1人の妹の男児1人にOcular Albinismがみられ,他の妹の女児1人にGeneticCarrier特有の眼底所見がみられCarrierと考えられた。母親の父,すなわちProbandの母方の祖父も視力障害,眼振,羞明などを訴えていることより,Ocular Albinismと推定される。
これら4例のGenetic Carricrはいずれも,虹彩は正常褐色を呈したが透光性がつよく,外眼部は全く正常で視力も良好である。眼底はいずれも,視神経乳頭,網膜血管には異常がみられず,網膜全体の色調が少々明るい感じがある。