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臨床報告
裂孔の発見困難な網膜剥離の手術成績
著者: 近藤武久1 安積慶子1 前島伸二子1 根木昭1 高橋義公1 宮代汎子1
所属機関: 1神戸市立中央市民病院眼科
ページ範囲:P.983 - P.987
文献購入ページに移動特発性網膜剥離の症例のうち,いろいろな術前合併症のため裂孔の発見の困難な症例に時々遭遇する。裂孔の発見を困難にする術前合併症としては既に多くの記載があるが1〜3),無水晶体眼による小瞳孔,残留水晶体,瞳孔偏位,硝子体混濁などが主なものである。このような無裂孔剥離は巨大裂孔,高度硝子体退縮(MVR)などとならんで治癒率の悪い網膜剥離の一つに挙げられ3,4),今後更に充分な検討が必要と考えられる。
裂孔が発見されなくても,種々の検査で続発性網膜剥離が否定されれば手術的療法の対象となるわけであり,このような症例には,Schepens5,9)らの推賞するsilicone bandによる輪状締結法が第一適応と考えられる。しかし個々の症例により,網膜剥離手術前に小瞳孔に対する処置の必要性の有無とか,輪状締結法と色々な手技の組合せとか,two step operationの選択など検討の余地が多く残されているように思われる。
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