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神経眼科講習会
視交叉近傍構造の臨床解剖
著者: 玉木紀彦1 松本悟1
所属機関: 1神戸大学医学部脳神経外科
ページ範囲:P.1145 - P.1151
文献購入ページに移動脳神経外科領域のレ線診断のうち,特に眼科領域と最も関係の深い視交叉近傍病変のレ線診断に限定し論じる。視交叉近傍病変のレ線診断と眼症候の発現機序の理解には,視交叉近傍構造の臨床解剖,およびレ線解剖の正確な知識が必要である。そこでまず最初に視交叉近傍構造の局所解剖を,次いでそれらを基にレ線解剖を概説した上で,最後に視交叉近傍病変のレ線診断を論じてみたい。
いま視交叉近傍に腫瘍が存在するとき,その部位,大きさ,進展方向などがほぼ同様でありながら,眼症候は各症例によつてかなり異なる。また同様に腫瘍の鞍上部進展の小さい腫瘍が,より大きな鞍上部腫瘍よりも眼症候が重症であることを日常よく経験する。このように眼症候は腫瘍側の因子,すなわち,大きさ,発育方向,発育速度などに影響されるだけでなく,患者側の因子,すなわち視神経,視交叉近傍構造の解剖学的な変異も大いに関係していると考えられる。
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