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臨床報告
ICR系遺伝性白内障ラットの水晶体組織所見とその特異性について
著者: 伊原信夫12 布野秀二2
所属機関: 1いはら和漢薬研究所 2関西医科大学病理学教室
ページ範囲:P.1223 - P.1228
文献購入ページに移動ICR系遺伝性白内障ラットは,いはら和漢薬研究所で発見された白内障自然発症ラットをもとにして,累代選択交配によつて開発,育成されたもので1),白内障を自然発症する。本系ラットの白内障は3ないし4カ月齢で急速に発症し,5ないし6カ月齢で完成する成熟期完成型であり,またいつたん発症しても種々の条件で,5ないし7カ月齢において水晶体白濁度を減ずるものがあることなどから,現在諸外国で報告されているどの系統よりもヒトの老(壮)年性の白内障に比類しうる点が多く,病態モデルとしての利用価値が高いものと思われる。
本稿では,ICR系ラットの初歩的な水晶体所見と二,三の特殊染色所見について述べるとともに,本系の特異性についての考察を加える。
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