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臨床報告
低眼圧眼の諸問題(2)—緑内障手術後の浅前房・低眼圧に対する考察
著者: 根木昭1 近藤武久1 安積慶子1 前嶋伸二子1 高橋義公1 宮代汎子1 上野一也
所属機関: 1神戸中央市民病院眼科
ページ範囲:P.1241 - P.1245
文献概要
緑内障における,瀘過手術後の合併症は,その修復が非常に困難なものが多く,今日に至るまでの緑内障手術術式の変遷は,合併症との戦いといつても過言ではない。近年,従来の術式に比べ,比較的合併症の少ないtrabeculectomy,trabecul-otomy,sinusotomy等の術式が考按され,特にtrabeculectomyは,その適応範囲の広さから,好んで用いられている術式である。しかしながら,trabeculectomy自体が,瀘過手術である以上,併発率の低下はあつても,合併症の重篤さは,旧来と変わるものではない。とりわけ,術後前房再生遅延は,眼科医が必ずや遭遇する難題の一つであろう。
今回,われわれは狭隅角性緑内障眼にtrabecu-lectomyを施行した後,胞状脈絡膜剥離を伴い前房再生遅延をきたした症例を経験し,これを手術的に治癒せしめたので,その発生機序および治療法等につき若干の考察を加えてみた。
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