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臨床報告
原発性開放隅角緑内障の長期視野経過の分析
著者: 溝上国義1 豊田幸信1 諌山義正1
所属機関: 1神戸大学医学部眼科学教室
ページ範囲:P.1365 - P.1369
文献購入ページに移動原発性開放隅角緑内障はきわめて長期にわたり管理され,また適切な治療を受けるべき疾患である。この管理にあたり,もつとも重要な点は,視機能の保存であるが,それには,視野をチェックして,その悪化を予防する必要がある。一方,緑内障における視野障害の進行は,眼圧の上昇と密接な関連をもつと一般に信じられている。しかしながら,われわれが,40歳以上の男子3,639名を対象として行つた緑内障集団検診1)では20mmHg以上の高眼圧を示した者が,5.63%あつたのに対し,視野障害のあつた者は0.86%であり,両者の間に大きなへだたりがあつた。また眼圧レベルそのものよりも,眼圧の変動幅が視野障害進行にもつとも影響するとする考え方もある2)。この様に,眼圧の上昇と視野障害の進行との相関については,なお不明な点がある。今回,われわれは本院緑内障外来において,薬物治療のみで10年以上にわたり経過観察できた原発性開放隅緑内障群について,それらの視野経過と眼圧との相関について検討を行つたので報告する。
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