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臨床報告
新しい抗アレルギー剤によるアレルギー性結膜炎治療の試み
著者: 樋口真琴1 大野重昭1 三浪英子1 松田英彦1
所属機関: 1北海道大学医学部眼科学教室
ページ範囲:P.1501 - P.1504
文献購入ページに移動春期カタル,花粉症などを含む,いわゆるアレルギー性結膜炎は,日常よく遭遇する疾患で,しかも強い自覚症状のために患者にとつては苦痛の多い疾患である。近年,免疫学の急速な進歩により,これらの疾患の発症機序が明らかにされるとともに,その治療法についても,免疫学的,薬理学的研究により,新しい薬剤が開発されてきている。
Disodium Cromoglycate(以下DSCGと略す)は従来のアレルギー用剤と異なり,アレルギー反応予防薬剤として,既に気管支喘息やアレルギー性鼻炎等に対し,内科,小児科,耳鼻科領域において広く使用されている。DSCGは肥満細胞の崩壊,およびそれに伴うヒスタミン,slow reactingsubstance of anaphylaxis (SRS-A)等のchemi-cal mediatorの遊離を抑制する作用があり,これまでアレルギー性疾患に使用されてきた副腎皮質ホルモン剤,抗ヒスタミン剤とは全く別の機序による働きをもつものである(図1)。
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