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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科33巻2号

1979年02月発行

文献概要

特集 第32回日本臨床眼科学会講演集 (その1) 学会原著

角膜輪状膿瘍の臨床と病理

著者: 西興史1 西麗子2 植村恭子1 西素子1 細川久子1

所属機関: 1西眼科病院 2京都大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.133 - P.138

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緒 言
 1903年Fuchs1)は,次の様に述べている。『角膜輪状膿瘍とは,細菌感染により,角膜輪部に沿つて短期間のうちに出現する,輪状の,膿瘍の浸潤で,数日内に角膜全体の膿瘍や全眼球炎に至る。ほとんどは穿孔性の外傷後に起きるが,非穿孔性の外傷後にも現われることがある。また白内障術後の感染症はほとんど角膜輪状膿瘍である。』
 滅菌や消毒の概念が十分でなく,また抗生物質の発見される以前は,この感染症はFuchsが述べるように,眼科医にとつて恐るべき病気の一つであつたが,現在その報告は皆無といつてよい程である。これは,滅菌や消毒の発達で,手術後には全くといつてよい程起らなくなり,また外傷後でも速やかな抗生物質の投与によつて未然に防がれているからであろう。しかし絶無でなく,後述するように,いつたん進行した場合には,抗生物質の大量投与にもかかわらず予後が非常に悪く,また日常の些細な非穿孔性の外傷(角膜異物!)からも発病し得るので,注意を喚起したい。この5年問に8例の角膜輪状膿瘍を経験したので,典型的な病像,所見,全眼球炎後摘出した眼球の角膜組織像を示す。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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