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特集 第32回日本臨床眼科学会講演集 (その2) 学会原著
Neovascular Maculopathyの種々相
著者: 渡辺千舟1 吉原正晴1 中山周介1
所属機関: 1大阪医科大学眼科学教室
ページ範囲:P.305 - P.314
文献購入ページに移動黄斑部網膜の色素上皮下あるいは神経上皮下に,出血や滲出性変化を伴う線維組織の増殖を生じ,臨床的に円盤状網膜剥離の所見を示す疾患群がある。この変化は脈絡膜起源の新生血管が破綻したBruch膜の間隙から,網膜色素上皮下あるいはさらに萎縮,剥離した色素上皮を通つて神経上皮下に侵入する病態のために生ずることが明らかになつてきた。このような脈絡膜からの血管新生は,外傷,変性または炎症と考えられる異質の病因に対して,黄斑部の示す共通性のある反応形式とみなすことができ,発生した新生血管が黄斑部に惹起する変化をNeovascular Maculopathyと称する。
このようなNeovascular Maculopathyをきたす原疾患のうち,今回は老人性円盤状黄斑変性,近視性黄斑変性およびいわゆるRieger型滲出性中心性脈絡網膜炎をえらび,それぞれの疾患にみられる黄斑部の検眼鏡,細隙灯顕微鏡所見および螢光眼底撮影早期像でえられた新生血管の特徴的所見ならびにMaculopathyとの関係を検討したので,その結果について報告する。
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