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特集 第32回日本臨床眼科学会講演集 (3) 学会原著
原田病症状を併発した仮性副甲状腺機能低下症
著者: 中島崇1 曾谷尚之1 青山達也2 松岡徹3 河中正裕3
所属機関: 1兵庫医科大学眼科学教室 2呉共済病院 3兵庫医科大学第二内科学教室
ページ範囲:P.469 - P.475
文献購入ページに移動仮性副甲状腺機能低下症(Pseudohypoparathy-roidism)は1942年Albrightら1)により報告され,本症の病因は腎における副甲状腺ホルモンの感受性の低下とされている。本症は短躯,円形顔貌,短指症,知能低下等の特徴的な所見を有し,さらに慢性テタニー,血清Caの低下,無機燐上昇等の症状を示す極めて稀な疾患である。眼科における合併症はBlonsky2)やSchwarz3)によると,白内障,斜視,緑内障,うつ血乳頭,視神経炎などがあるとしている。本邦における仮性副甲状腺機能低下症についての報告は内科,小児科,精神科領域4〜21)での報告は20数例みられるが,眼科領域での報告は,著者らの調べる限りでは,秋山22)の白内障を合併した仮性副甲状腺機能低下症の1例にすぎない。しかしこの症例においても視力は良好で手術まで行なうような白内障ではなかつた。現在まで本症における眼合併症のため手術を行なわねばならなかつた症例は,内科領域の文献で2例を認めるにすぎない11,20)。しかし眼科所見の詳細は不明である。今回著者らは,仮性副甲状腺機能低下症に合併した白内障を手術し,術後,約2週間後原田病症状を呈した症例に遭遇した。これらの症状の発現機序などに関して文献的考按を加えて報告する。
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