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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科33巻4号

1979年04月発行

文献概要

特集 第32回日本臨床眼科学会講演集 (3) 学会原著

ノリエ病

著者: 藤田晋吾1 大庭紀雄1

所属機関: 1鹿児島大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.495 - P.496

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緒 言
 Norrie's disease (ノリエ病)は1927年Norrie(デンマーク)がはじめて記載した重い先天性眼異常,すなわち両眼の先天盲と白色瞳孔を主徴候とする疾患である1)。最近になり,Warburg (1966年)が,6家系35症例を検討して,その臨床像を整理するとともに,X染色体劣性遺伝病であることを確かめるにいたり,単位疾患としてひろく承認されている2)。本疾患の臨床像のうち最も重要な症候は,出生後間もなく,もしくは数カ月のうちに気がつかれる両眼性のいわゆる白色瞳孔である。それは水晶体後方の硝子体中に存在する,帯黄白色の血管に富む偽腫瘍性の集塊構造に由来する。さらに,虹彩萎縮,浅前房,虹彩後癒着,虹彩外反,毛様突起延長などの前眼部異常をみることもしばしばあり,ときには網膜全剥離や眼底出血をみることもある。継年とともにこれらの症候はしだいに増強し,さらに角膜混濁や水晶体混濁も加わり,やがて眼球萎縮にいたる。このような眼異常は本疾患に必発であるが,変異遺伝子は,聴覚や精神機能にも多面発現する作用をもつ。すなわち,約30%の症例では,青壮年期から進行性の難聴もしくは知能低下や精神薄弱がみられる3)
 ノリエ病はまれな疾患であるが,現在までに200例ほどの症例集積がある。白人種,黒色人種,北米インディアンで患者が発見されている3)。しかし,日本人をふくむ黄色人種においては,本疾患の記載がみられない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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