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特集 第32回日本臨床眼科学会講演集 (3) 学会原著
先天性小瞳孔・前房隅角の発生異常および先天緑内障晩発型を合併した一家系—1)臨床所見および遺伝型式
著者: 田原昭彦1 向野利寛1 和佐野利記子1 南川妙子1 猪俣孟1 和田暢夫
所属機関: 1九州大学医学部眼科学教室
ページ範囲:P.508 - P.516
文献購入ページに移動先天性小瞳孔とは瞳孔径が小さく,かつ虹彩の紋理が不明瞭であるという特徴を有するまれな先天性眼疾患である。この瞳孔および虹彩の異常の本態は,各種の散瞳剤を点眼してもほとんど散瞳効果を認めないこと1〜9),また本症を有する眼球の組織学的検査所見1)より瞳孔散大筋の先天的な発育不全と考えられている。
一方,先天緑内障晩発型(Developmental glau-comaのlate type)とは,10歳から30歳代に発症する緑内障で隅角鏡にて前房隅角に発生学的な異常を有するものをこう呼んでいる。そしてこの際に認められる前房隅角の異常は,隅角部を形成する中胚葉組織の発達が不充分なためと考えられている10〜14)。
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