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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科33巻4号

1979年04月発行

薬の臨床

出血性網膜疾患に対するpentoxifyllineの使用経験

著者: 岩船裕一1 吉本弘志1

所属機関: 1弘前大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.558 - P.565

文献概要

緒 言
 出血性網膜疾患とくに網膜中心静脈および分枝閉塞症に対する治療法として,従来より抗凝固剤1,2),血管拡張剤3),血管強化止血剤2),線溶酵素剤1,2),抗動脈硬化剤4),および血小板機能賦活剤5)等の投与が一般に行なわれている。しかしなお高度の視力障害を残す不完全治癒症例も決して少なくない2,3)。その理由としては,血栓形成後の血流欝帯に由来する酸素欠乏性の変化として,毛細血管床の閉塞が二次的におこり,その閉塞が原因となる網膜の広範な微小循環不全が,血栓そのものの融解後も本症の完全治癒を困難にしていると考えられている6)。このような広範な微小循環不全の長期にわたる存在は,網膜の浮腫・変性等を来たし,さらには硝子体内新生血管の形成,またこれに続発する硝子体出血を招き,失明という不幸な機転をとる場合もまれではない7)。この毛細血管の循環不全を改善もしくは予防するためには血管拡張剤や抗凝固剤の投与のみでは不十分なことは従来の成績から明らかである。他方近年,毛細血管領域における血液の流動性の改善が重視され8,9),これに赤血球の変形能が重要な意義を有することが明らかにされている10,11)。これらの研究によれば,赤血球の変形能は血液のpH,浸透圧および赤血球内ATP含有量によつて影響される8,12)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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