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特集 第32回日本臨床眼科学会講演集 (その4) 学会原著
Ophthalmodynamographyによる頸動脈循環障害症例の所見
著者: 宮澤文明1 阿川忠郎1 飯塚俊明1 勝目紀一1
所属機関: 1東京医科大学眼科学教室
ページ範囲:P.651 - P.656
文献購入ページに移動網膜中心動脈圧は,Bailliart1)以来全身血圧との比較において,主として高血圧症の予後判定に用いられてきた。1962年Weigelin2)がこの血圧の変化は眼局所の血流によるのではなく,頸動脈の血流に大きな影響を受けることを実証して以来,この血圧は脳血管障害において大きな診断意義を持つに至つた。しかし従来の網膜中心動脈測定法は,いずれもいわゆるOphthalmodynamo-metory (O.D.M.)であつて,脳血管障害で重要な情報となる内頸動脈圧を正確に反映するものではなかつた。
1963年Hager3,4)は脳循環血液量測定の目的で,Ophthalmodynamography (O.D.G.)を考案し,O.D.G.が内頸動脈の眼動脈分岐部圧,すなわち眼動脈圧であり,O.D.M.に比べて血圧値の個体差や左右差の少ないことを証明した。また1967年佐野5,6)はHagerと同じ原理によるO.D.G.を自ら考案して,大動脈弓症候群などのO.D.G.を測定した7)。しかしこれは片眼での測定であり上腕動脈も同時測定するにはおよばなかつた。
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