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眼光学学会
高倍率眼底写真撮影について
著者: 馬場賢一1 野寄喜美春1 清水利治2 田中正司2 加藤尚臣2
所属機関: 1埼玉医科大学眼科学教室 2日本光学工業(株)
ページ範囲:P.717 - P.719
文献購入ページに移動われわれが眼底を観察し,あるいは写真撮影をする場合には,通常は被検眼の眼底像を拡大して行なうが,その目的は拡大することによつて細部の観察精度を上げ,豊富な情報を得ようとするところにある。したがつて眼底カメラにおいても,より高倍で撮影しようという試みは古くから行なわれ,一部は実用化されている。現在の標準型眼底カメラ(画角30°)のフイルム面における倍率は約2.5倍であるが,この撮影系のレンズの焦点距離を負レンズにより長くして,標準倍率の1.6〜4倍の拡大画像を得る装置がある。しかしこの方法はいわゆる像の引伸しであつて,解像力の向上はない。すなわち35ミリフィルムで撮影し,それを引伸したものでも,拡大装置で直接に拡大撮影したものでも,倍率が同じであれば理論上からの差は出ないおけである。そこでこれまでに解像力の向上を目的として種々の高倍率眼底撮影法が試みられている。たとえば(1)前置レンズとフォトスリットランプの組合わせ,(2)特殊コンタクトレンズとフォトスリットランプの組合わせの方法などが研究発表さている。しかし(1)の方法は収差や反射のために特別な研究を除いては実用に耐えないことが多い。
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