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特集 第32回日本臨床眼科学会講演集 (その5) 学会原著
頭蓋内転移で死亡した成人の網膜芽細胞腫の1例
著者: 三根茂1 大島健司1 岡嶋由布子1 増田義哉1 菊地昌弘2 白石昌之2 福島武雄3
所属機関: 1福岡大学医学部眼科学教室 2福岡大学医学部第一病理学教室 3福岡大学医学部脳神経外科学教室
ページ範囲:P.837 - P.842
文献購入ページに移動細膜芽細胞腫Rctinoblastomaは小児こ発生する悪性腫瘍として一般に広く知られている。Duke-Elder1)によれば,網膜芽細胞腫と診断される年齢は2歳が一番多く,4歳より急激に網膜芽細胞腫の発症は減少し,さらに7歳以後の発症は例外的であるとされている。したがつて私たち眼科医は小児の診察に際しては本症の可能性を絶えず考慮しなれけばならない。一方,成人に発生する網膜芽細胞腫はきわめてまれとされ,そのため成人の場合,本疾患を考慮することはほとんどない。現在までに成人に発生した網膜芽細胞腫の報告例は少なく,10数例を数えるのみであり,頭蓋内に転移し死亡した報告はない。今回私たちは頭蓋内,脊髄に転移し死亡した成人の網膜芽細胞腫の1例を経験したので報告する。
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