文献詳細
文献概要
臨床報告
高エネルギー密度パルスレーザー光の眼内での反応
著者: 小澤哲磨1 本田辰篤2 岡本新生郎3
所属機関: 1東京逓信病院眼科 2工業技術院電子技術綜合研究所電子電波部レーザー研究室 3東京大学医学部眼科学教室
ページ範囲:P.875 - P.878
文献購入ページに移動人眼はかなり長波長の赤外線でも赤色光として感じることができる。レーザー光で長波長側の可視限界の測定をすると,光の強度が一定のレーザー光(連続波レーザー光)では1,064nmの波長でも,なお,赤色光として認められる1,2)。連続波レーザーではなく,1,060nmのパルス状のレーザー光(パルスレーザ光)を見ると,赤色ではなく,緑色光として感覚される現象も報告されている1)。
パルスレーザー光が,連続波レーザー光と異なつた色調として感覚されるこの不思議な現象について,下記のようなことも知られている。パルスレーザー光の波長を変えると,感知される色調も変化し,用いたレーザー光の1/2波長の色として感じる。1,118nmでは黄緑に,1,153nmでは黄色に,1,179nmでは燈色となる3)。摘出眼にルビーレーザーの赤色光パルス,波長694nmを照射すると,透過光中にその1/2波長の紫外線(347nm)が混在する4)。このような事実から,赤外パルスレーザー光は加熱,化学変化に伴なつて可視光線を作るのではなく,眼内でその一部が1/2波長の光に変換されるため可視されると考えられている。光の波長を1/2に変える現象に関与する眼内組織は,角膜,強膜4)あるいは網膜1)と報告されている。
掲載誌情報