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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科33巻7号

1979年07月発行

文献概要

特集 第32回日本臨床眼科学会講演集 (その6) 学会原著

保存強膜を利用した眼形成手術—(Ⅱ)眼瞼全層欠損の再建

著者: 田邊吉彦1 星野元宏1

所属機関: 1名古屋大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.949 - P.954

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緒言
 眼瞼全層の大きな欠損は皮弁によつて再建される。使用皮弁は,眼球保護という特殊機能の必要上,粘膜が眼瞼部に裏打されるが,これには患者自身の結膜1,2),口腔粘膜2〜4),鼻粘膜2,3)等が利用されてきた。特に鼻中隔軟骨附粘膜は理想に近い裏打材料で,われわれもこれを愛用して来た。しかしこれらは患者に余計な傷を与え,採取に時間と技術を要し,更に無制限には採れない事が欠点である。
 われわれは角膜や強膜の疾患に,保存角膜や強膜の移植を行なつて来た経験から,これが組織とよくなじむ事を知り,先に保存強膜を内皆形成の手術に応用し,これが瞼板代用としても有用であると報告したが14),今回,保存強膜が生食水に浸すと非常にしなやかで,その脈絡膜側は極めて滑らかである事に目をつけ,こちらを角膜にむけ皮弁の裏打に用いれば,異物感もなく,皮弁とのなじみもよかろうと考えた。3例の眼瞼癌に用い良好な結果を得たので報告する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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