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臨床報告
視覚障害者のリハビリテーション—その1 糖尿病
著者: 小林直樹1 環竜太郎1 堀内二彦2 富井純子2 船橋知也2 市川文昭3 中村哲夫3 伊豆利昭3
所属機関: 1神奈川県総合リハビリテーション・センター神奈川リハ病院眼科 2東京慈恵会医科大学眼科 3神奈川県総合リハビリテーション・センター七沢ライトホーム
ページ範囲:P.1053 - P.1057
文献購入ページに移動近年,糖尿病患者が増加し1,2)その管理によつて余命は飛躍的に延長したが,一方,血管症である糖尿病性網膜症による重症視覚障害者は増加2)の一途を辿り,しかもその進行,予防およびその治療法などは未だ十分に確立されていない。ひとたび網膜症が発症した場合,視力を可及的に保持するためにも医学的管理や生活指導をすることはもちろんであるが,重症網膜症の際には障害者の最終的段階を認識し社会復帰への積極的な対策も考慮すべきである。特にリハビリテーション(以下リハと略す)の側からも,眼科臨床においていたずらに患者の安静または休養の指示が長すぎたり,失明宣告の時期や方法が不適当であることがしばしば指摘されている3)。したがつて眼科臨床の場において,臨床的更生指導が必要である。しかし現実には視覚障害者の医療と教育,福祉の間には大きなギャップがあり4〜6),障害者のスムーズなリハ移行を妨げている。しかもこのような機関の必要性が痛感されながらも,これが余りにも少なく全国各地にこれらの機関の設置3〜5)が望まれているのが現状である。
そこで今回,われわれは神奈川県総合リハセンター・七沢ライトホームで経験した糖尿病による重症視覚障害老を対象に,リハの現状を紹介,あわせてその問題点を検討したので報告する。
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