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臨床報告
開放隅角緑内障の夜間視力—ピロカルピン点眼による影響
著者: 蒲山俊夫1 常岡寛1 服部美里1 若松慶二1 小池裕司1
所属機関: 1東京慈恵会医科大学眼科学教室
ページ範囲:P.15 - P.21
文献購入ページに移動(1)視野障害が軽度,すなわち内部イソプター(I/3,I/2,I/1)のみ障害された緑内障眼の夜間視力は,ピロカルピン点眼により改善された。そして,この改善の平均値は点眼60分後にピークとなり,それは正常値近くまで増強した。
(2)視野障害が外部イソプターにまで及んでいる緑内障眼の夜間視力は,ピロカルピン点眼によりやはり軽度改善傾向をみたが,その効果は小さかつた。
(3)このことから,視野障害の小さい緑内障群に対してピロカルピンを点眼した場合の夜間視力(視標提示後60秒)の回復は,視野障害の大きい緑内障群のそれより大きいことが有意の差をもつて認められた(p<0.01)。
(4)ピロカルピン点眼による緑内障眼の中距離夜間視力の改善は,ピロカルピンの屈折,調節変化,および縮瞳作用以外のなんらかの作用によるものであることが判明したが,今回はその他のピロカルピンの作用についての検討が詳しくなされておらず,その改善機序については,いまだ推論にとどまり,今後の検討が必要と考えられる。
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