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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科34巻1号

1980年01月発行

文献概要

臨床報告

開放隅角緑内障の夜間視力—ピロカルピン点眼による影響

著者: 蒲山俊夫1 常岡寛1 服部美里1 若松慶二1 小池裕司1

所属機関: 1東京慈恵会医科大学眼科学教室

ページ範囲:P.15 - P.21

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 開放隅角緑内障患者の夜間視力にピロカルピン点眼が,どのように影響するかを知る目的で,簡易型中距離夜間視力計を用い,明所視力が良好でも視野,ならびに夜間視力に障害のある本症患者12例20眼にピロカルピンを点眼して,その夜間視力の経時的変化を測定し,次の結果を得た。
 (1)視野障害が軽度,すなわち内部イソプター(I/3,I/2,I/1)のみ障害された緑内障眼の夜間視力は,ピロカルピン点眼により改善された。そして,この改善の平均値は点眼60分後にピークとなり,それは正常値近くまで増強した。
 (2)視野障害が外部イソプターにまで及んでいる緑内障眼の夜間視力は,ピロカルピン点眼によりやはり軽度改善傾向をみたが,その効果は小さかつた。
 (3)このことから,視野障害の小さい緑内障群に対してピロカルピンを点眼した場合の夜間視力(視標提示後60秒)の回復は,視野障害の大きい緑内障群のそれより大きいことが有意の差をもつて認められた(p<0.01)。
 (4)ピロカルピン点眼による緑内障眼の中距離夜間視力の改善は,ピロカルピンの屈折,調節変化,および縮瞳作用以外のなんらかの作用によるものであることが判明したが,今回はその他のピロカルピンの作用についての検討が詳しくなされておらず,その改善機序については,いまだ推論にとどまり,今後の検討が必要と考えられる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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