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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科34巻10号

1980年10月発行

学会原著

ベーチェット病および原田病における併発白内障の手術成績

著者: 三村康男1 松本和郎1 水野薫1

所属機関: 1大阪大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.1405 - P.1414

文献概要

 ベーチェット病における併発白内障129眼の経過観察によって次の結果をえた。
 (1)術後の最高視力でみると視力の改善率は109眼84.5%で,そのなかで0.1以上の視力が改善したものは75眼58.1%であった。
 (2)術後3年をへて経過をみた65眼での視力で,術前より改善しているもの38眼58.4%,0.1以上の視力を維持できたものは25眼38.5%であった。
 (3)手術時の年齢と術後視力との関係は,20歳代の手術例は,30歳以上の症例に較べて視力予後は不良であった。
 (4)術前より,術後視力の予測は,ERGおよび視野測定によって可能で,ERGでlow voltage以上,視野所見で固視点機能があれば,術後0.1以上の改善視力が期待できる。なお,比較中心暗点は本症では可逆性のことが多く,80%が視力0.1以上に改善した。
 (5)手術前後1年間の重症眼発作回数を比較すると,変化は少ないが,若干の減少傾向がみとめられた。
 (6)術式については,水晶体全摘出が必要であり,1/2周以上の虹彩後癒着,あるいは年間4回以上の重症眼発作のあるときには,術後に生じやすい瞳孔領膜形成による視力低下を防ぐために虹彩全幅切除術の併用が必要であった。
 (7)手術時期については,6カ月以上の緩解期を確認しておこなうことが望ましいが,重症発作後1カ月以上を経過すれば,術後の経過に影響がなかった。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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