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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科34巻11号

1980年11月発行

文献概要

臨床報告

球結膜切除術が有効であった難治性蚕蝕性角膜潰瘍の3例

著者: 西麗子1 千原悦夫1 浅山邦夫1 塚原勇1

所属機関: 1京都大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.1511 - P.1517

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 両眼性の激症型蚕蝕性角膜潰瘍の3症例に球結膜切除術を施行した。全例病勢の進展を阻止し失明を防止しえた。これらの症例はすべて,他眼は既に失明しており,今回残された1眼に新たに本症の発生をみたものである。cysteine, EDTA,血清等のコラゲナーゼ阻害剤の点眼(1日5回点限)は,病勢の進展を阻止しえなかった。さらに高濃度のEDTA点眼液(0.1M)は角膜上皮剥離を惹起し,むしろ有害であった。副腎皮質ホルモンの全身投与は病勢の進展阻止に有効であった。また全例に血液検査でLDHの高値がみられた。症例1の失明眼の病理学的検査で,角膜のみならず,球結膜,上強膜,虹彩にもリンパ球,プラズマ細胞,好酸球の小円形細胞浸潤を高度に認めた。これらの臨床および病現所見は本症が自己免疫疾患であることを示唆する。激症型の蚕蝕性角膜潰瘍に対して,有効な治療法のない現在,球結膜切除術は,安全性の点からも,術後成績の点からも有効な手術法とみなしえる。さらになるべく早期に施行する方が良好な成績がえられている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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