icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床眼科34巻2号

1980年02月発行

文献概要

特集 第33回日本臨床眼科学会講演集 (その1) 学会原著

糖尿病性虹彩ルベオーシスの治療

著者: 蓮沼敏行1 橋本和彦1 井田理恵1 沼賀哲郎1 堀内知光1

所属機関: 1群馬大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.131 - P.143

文献購入ページに移動
 糖尿病性網膜症に虹彩rubeosisまたはneova-scular glaucomaを合併した22症例28眼の臨床像ならびに治療効果を記述した。螢光眼底造影が可能であつた22眼に対し,新しい広範囲螢光造影の手技を用いて,網膜病変とルベオーシスの関係について検索した。その結果22眼全例で,乳頭黄斑部とRPC領域を除く網膜全体に広範囲の網膜院血管床閉塞を認め,この血管床閉塞が虹彩ルベオーシス発症の主要原因であると推定した。
 細隙灯顕微鏡と螢光虹彩撮影を用いて虹彩ルベオーシスを観察し,3段階に分類した。すなわち,瞳孔縁と隅角に軽度の新生血管が発生している段階を第Ⅰ度とし,虹彩面上と隅角に新生血管が多数発生している段階を第Ⅱ度とし,周辺部虹彩癒着がほぼ完成して高眼圧を呈する段階を第Ⅲ度とした。
 この推論に基づいて,11眼に汎網膜光凝固を行い,17眼に網膜中間周辺部の冷凍凝固を施行した。冷凍凝固群の内,高眼圧を呈した8眼には毛様体冷凍凝固も併用した。
 その結果,正常眼圧群18眼中7眼にルベオーシスの半減を認め,有効であつた。高眼圧群10眼では9眼に眼圧の下降,ルベオーシスの退縮,疼痛の消失があり,有効であつた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?