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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科34巻3号

1980年03月発行

文献概要

特集 第33回日本臨床眼科学会講演集 (その2) 学会原著

無水晶体眼における網膜剥離の治療成績

著者: 井上英幸1 坂上英1 黒木悟1

所属機関: 1愛媛大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.301 - P.308

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 1976年10月12日より1979年6月30日までの約2年9カ月の間に愛媛大学眼科に入院し,対網膜剥離手術を施行した無水晶体眼の網膜剥離24例28眼について統計的観察を行ない,次の結果が得られた。
 (1)同期間内で対網膜剥離手術を施行した特発性網膜剥離症例246例(260眼)の中で占める割合は9.8%(10.8%)で本邦における従来の報告例より高頻度にみられた。
 (2)性別は男79.2%,女20.8%で男性に多くみられた。
 (3)年齢別では50歳代が41.7%で最も多く平均年齢53.8歳であつた。
 (4)罹患側別では左眼に多くみられた。
 (5)近視の占める割合は42.9%で−6.0D以上の近視は32.1%であつた。
 (6)水晶体摘出後,網膜剥離発症までの期間は老人性白内障では1年未満のものが多く,53.8%と半数以上を占めた。
 (7)裂孔検出率(老人性白内障術後症例)は80.8%であつた。
 (8)主裂孔の形は弁状が61.9%で最も多く,大きさは1P.D.以下の小さな裂孔(80.9%)が多くみられた。裂孔の数では1個のものが多く57.1%を占めた。
 (9)主裂孔の経線位分布では耳上側に多く(61.9%),照準角分布では40°から60°の範囲に76.2%と圧倒的に多くみられた。
 (10)剥離の様態では胞状剥離が64.3%と最も多く,2象限以上の剥離は64.3%を占め全域剥離は28.6%にみられた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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