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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科34巻3号

1980年03月発行

特集 第33回日本臨床眼科学会講演集 (その2)

学会原著

日光網膜炎と予後

著者: 松元直子1 阿部春樹1 難波克彦1 松田章男1

所属機関: 1新潟大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.355 - P.361

文献概要

 1978年10月2日に見られた部分日食後,自覚症状を訴え眼科医を訪れた日光網膜炎患者16例27眼の臨床所見ならびにその予後について報告した。症例は7歳から17歳の若年者で8例は裸眼で,他は何らかのフイルターを用いて観察を行つた。日食観察時間は3分から長いものでは2時間に及んだ。初診時視力は0.3〜1.2で最終的には全例1.2まで回復し,大半は1ヵ月以内に回復した。日食観察時間が長い程回復までの日数が長く,受傷早期の視力回復に要した時間も短かつた。眼底は約1年後,27眼中3眼にlamellar macular hole様の変化が残り,7例12眼には色素沈着や脱色素斑などの異常が残つた。中心視野は,初診時に検査した8例12眼全例に暗点を認め,約1年後3例5眼になお残存した。1例に輪状暗点を認めた。観察に用いられたフイルター類につき分光透過率を測定したが,いずれも透過率が2%以上でススやスミガラスでも安全とはなし難い結果であつた。したがつて太陽に向つて直接観察するのは,フイルターを用いても危険がありピンホールカメラ等の間接法による観察が望ましい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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