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連載 眼科図譜・270
斑状角膜変性(Groenouw Ⅱ型)の1例
著者: 町田杏子1 米谷新1 丸山明信1 大西直人1 赤羽信雄1
所属機関: 1群馬大学医学部眼科学教室
ページ範囲:P.614 - P.615
文献購入ページに移動Groenouwの名を冠した角膜変性はBücklers1)によりⅠ型として顆粒状角膜変性bröckelige Hornhautdys-trophie (Dystrophia corneae granulosa)およびⅡ型として斑状角膜変性fleckige Hornhautdystrophie(Dys-trophia corneae maculosa)に分類される。優性遺伝であるⅠ型はその頻度も多く臨床像も確立されているが,Ⅱ型の斑状角膜変性はⅠ型とはまったく別個の疾患であるのみならず,劣性遺伝の形式をとりその症例は極めて少ない。本邦では4文献2〜5)の7症例の報告をみるが本症と断定できるものは少なく,したがって日本人における本疾患の典型的な臨床像は未だ十分に知られていないというべきである。私どもは最近かなり進行した斑状角膜変性の1例に遭遇しその臨床像と組織所見を検索した。
症例は51歳の女性(K.K.,53-5741)で15年前から両眼の視力低下を自覚し,異物感,羞明および疲労感を訴えている。父および母の母親同志が姉妹である。家族および親戚中に同様疾患は知られていない。視力は右0.06(n.c.),左0.1(n.c.)であり,コンタクトレンズで右0.2,左0.3に矯正できる。
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