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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科34巻5号

1980年05月発行

文献概要

特集 第33回日本臨床眼科学会講演集 (その4) 学会原著

白内障手術後の類嚢胞黄斑浮腫(cystoid macular edema)の原因について

著者: 菅謙治1 横瀬敏郎1 下地康代1

所属機関: 1北野病院

ページ範囲:P.732 - P.740

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 白内障手術後長期を経過した症例群(硝子体脱出のなかった122眼と硝子体脱出のあった34眼)と,嵌頓硝子体があってCMEをきたしてきた症例にanterior vitrectomyを行なった9眼,および白内障手術後4週〜12週の症例群(硝子体脱出のなかった89眼と硝子体脱出のあった14眼)の合計268眼について後部硝子体剥離とCMEの関係を検索し,CMEの発生機序を次のように考察した。
 白内障手術後には,後部硝子体剥離が発生したり,進行したりするが,この硝子体の前方への移動によって周辺部網膜や毛様体扁平部・根部などの周辺組織が牽引されると,眼球の中心に位置する黄斑部には機械的刺激が加わり,この部の血管が直接障害されたり,また,この部の網膜のprostagrandin産生が増加したりして血管の透過性が亢進し,CMEが発生する。ただし,このCMEの発生には一時的な硝子体牽引ではなく,慢性の持続的な牽引が必要である。
 この慢性の硝子体牽引説によって,CMEの発生が白内障手術後4週〜12週に多いことや,白内障手術後に硝子体剥離をきたしにくい40〜50歳代ではCMEの発生が少ないこと,また,硝子体剥離がすでに術前から完全に完成している高度近視ではCMEの発生が少ないこと,さらには,白内障手術時に硝子体脱出をきたしても前部硝子体切除によって切開創に硝子体嵌頓がなくなっているものではCMEの発生が少ないこと,などの事実が容易に理解されよう。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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