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雑誌目次

雑誌文献

臨床眼科34巻6号

1980年06月発行

雑誌目次

特集 第33回日本臨床眼科学会講演集 (その5) 学会原著

黄斑部に及んだ網膜剥離の術後視力

著者: 當麻信子 ,   額田朋経 ,   檀上真次

ページ範囲:P.801 - P.807

 網膜剥離が発症する前は正常な視力があったと考えられる症例で黄斑部に剥離が及んだ113例113眼について復位後の視力を検討し,次の結果を得た。
 (1)術後,113眼のうち104眼(92%)に視力の改善がみられ,65眼(57.5%)が0.5以上の視力に改善した。
 (2)黄斑部の剥離の程度と術後視力の間には強い関係がみられた。
 (3)黄斑部の剥離の高さが4〜9Dの扁平な症例では72眼中36眼(50%)が12カ月目およびそれ以降にも視力の改善がみられ,しかも術後視力0.5以上の症例が36眼中30眼(83.3%)もあった。
 (4)黄斑部の剥離の高さが10D以上の症例,脈絡膜剥離を合併した症例,6カ月以上黄斑部が剥離していた症例では約半数が術後1カ月以内で視力が固定し,0.5以上の視力に改善した症例はほとんどなかった。

瞳孔緊張症における対光反応の分析

著者: 中島正之 ,   内海隆 ,   大西洋一郎 ,   難波健

ページ範囲:P.809 - P.814

 Open-loop赤外線電子瞳孔計を用いて,瞳孔緊張症3例の対光反応の結果を分析し,さらに低濃度ピロカルピンの点眼による瞳孔の大きさ(面積)の変動を求めたところ,次のような結論を得た。
 (1)瞳孔緊張症の対光反応は副交感神経刺激型(cholinergic)のパターンを呈した。これは自己の常在性のアセチルコリンおよび対光反応により放出されたアセチルコリンに対して過敏性を示しているものと考えた。
 (2)0.0313(2−5)%ピロカルピン2回点眼によって,2.5%メコリール点眼と同様に瞳孔緊張症の診断に応用できることを証明した。
 (3)瞳孔緊張症の場合もopen-loop光刺激下に対光反応を瞳孔面積でもってとらえることが必要であると強調した。

眼底の観察できる新しいハプロスコープ(Fundus Haploscope)について

著者: 稲富昭太 ,   寺尾直道 ,   可児一孝 ,   阿部國臣 ,   大野隆

ページ範囲:P.815 - P.819

 赤外線によって眼底を観察することのできる大型弱視鏡を試作し,Fundus Haploscopeと名づけた。その特徴は次のようである。
 (1)従来の大型弱視鏡の機能をすべて備えている。
 (2)眼底は赤外線カメラによってモニターTV上で観察され,被検者のみる視標も同時に受像され,視標と眼底の位置関係が明確にできる。
 (3)眼底は赤外線によって観察するので,被検者には苦痛は全くない。
 (4)視標のピント合わせと眼底のピント合わせが同時に行える。

瞳孔の運動に関する生理学的研究—瞳孔の近見反応の解析と眼精疲労患者におけるその異常

著者: 清水春一 ,   小鹿倉庸子 ,   柴由紀子 ,   窪田智

ページ範囲:P.821 - P.827

 (1)従来原因不明であった眼精疲労のなかに瞳孔反応異常のあるものが発見された。
 (2)生理的瞳孔径,および瞳孔の近見反応は共にドンデルス輻湊線に近似する事が解った。
 (3)調節力の少ない者程,縮瞳率は強く,輻湊調節の過不足を補い合っている事が解った。
 (4)調節は適正な瞳孔径を得るため,縮瞳,散瞳の両側に抑制的に働き,瞳孔径を決定する微調節の役割を果しているものと思われる。

乳児内斜視の病態に関する神経放射線学的研究—第1報CTによる乳児内斜視の脳内変化について

著者: 羅錦営

ページ範囲:P.829 - P.838

 乳児内斜視50例についてCT検査を行い,つぎの知見を得た。
 (1) CTで明らかに脳内異常所見を認めたものは32例(64%)であった。
 (2) CT所見としては正中過剰腔の出現(透明中隔腔,Verga腔,中間帆腔等),部分的脳梁欠損,大脳半球間裂の拡大,脳室の拡大,脳底槽の開大および軽度ないし中等度の脳萎縮が認められた。
 (3)斜視角とCT所見の相関関係は認められなかった。
 (4)乳児内斜視の発生および両眼視機能には,中枢神経系の異常が関与すると考えられた。

外斜視のMaster eye手術効果について

著者: 赤沢和美 ,   大賀真理子 ,   増田勝子 ,   三井幸彦

ページ範囲:P.839 - P.844

 外斜患者でMF現象のおこる者,またはこの現象がおこらなくとも筋電図を検査してSlaveeyeの外直筋に異常放電があるか(PF型),または内直筋のTonusが異常に低下している者(NF型)では,Master eyeを手術すると卓抜した効果がある。実際間題として外斜患者の少なくとも90〜95%はこの種のものであることが推定される。したがって日常の臨床ではDominant eyeが決定できれば筋電図の検査は省略しても大過ないと思う。
 手術は斜視角の小さい者では,Master eyeの内直筋短縮のみでよく,斜視角の大きい者では内直筋短縮と外直筋後転とを同時に実施することが望ましい。手術量は斜視角から算定した量がかなり正確に再現性がある。
 手術48時間後において正位または2°以内の外斜位になった者は,1〜3カ月後の検査で正位(または検査によって見つけうる程度の軽微な外斜位で,実質的に正位と見なしうる)を保ち,その効果は安定して持続される。定量手術によって約60%の者はこの範囲に入り,過矯正の補正を加えると約75%が正位になる。
 過矯正は極めて軽微(手術翌日5mで同側性1°の複視)なものを除いて禁忌であり,障害を残すおそれが大きい。それで手術の翌日補正する必要がある。

Duane症候群

著者: 丸尾敏夫 ,   久保田伸枝 ,   有本秀樹 ,   菊池隆二

ページ範囲:P.845 - P.854

 Duane症候群を16年間に266例観察し,そのうち126例に外直筋および内直筋のEMG検査を,80例に手術を行った。
 外眼筋のEMGでは,外直筋はすべて異常神経支配が認められ,無放電の症例はなかった。眼球運動異常の発生機構として,外直筋の異常神経支配と内直筋の伸展障害とが考えられた。
 臨床病型とEMG所見とは必ずしも一致しなかった。
 合併症として味涙反射27例とサリドマイド胎芽病23例が注目され,本態として,胎生3週頃における発生異常で,中枢性および末梢性の両方の要因が考えられた。
 手術は第1限位における眼位の矯正を目的とし,内斜視では上下直筋移動より内直筋後転が,外斜視では外直筋後転が有効であることを述べた。

抑制に関する研究

著者: 牧幸

ページ範囲:P.855 - P.862

 同時視の不良な斜視患者30名にGoldmannPerimeterおよびPhase Difference Haploscopcを使用してSuppression scotoma とJump sup-presionの定量的測定を試みたところ,Scotomaよりも,Jumpの証明される症例の方が多く,Goldmann PerimeterとPhase Difference Haplo-scopeの成績は,必ずしも一致しないが,いずれでも測定可能な面積をもつJump域が証明された。間歇性外斜視に比較して内斜視にJumpsuppressionが多くSuppression scotomaも内斜視に多かった。またGoldmann PerimeterにてJump suppression, Suppression scotomaを認める症例の静的視野を測定したところ,Jump域にて閾値の沈下を,Scotomaにて視標の完全な消失をみた。

偏心固視弱視の検討—VEP所見と治療予後

著者: 田中尚子 ,   横山連 ,   西尾ゆかり ,   森野智英子 ,   山田いほ子

ページ範囲:P.863 - P.868

 斜視に伴う偏心固視弱視患者の光刺激VEPを記録し,治療予後との関係を検討した結果,次の知見を得た。
 (1) VEP所見により,振幅の低下が少ない多数群と,振幅の低下が著明な少数群に大別できた。
 (2)治療予後より,振幅低下の少ない群では視力,固視点の改善傾向がみられ,振幅低下の著明な群では改善がみられないことがわかった。
 (3) VEP所見および治療予後の不良であった少数例では,視路における非可逆性変化の存在が考えられた。
 以上より,光刺激VEPは偏心固視弱視の治療予後判定上有意義であると考えられた。

Pattern shift VECPの臨床的応用—中心視と周辺視の比較

著者: 市橋進 ,   木村久 ,   筒井純

ページ範囲:P.873 - P.876

 pattern shift VECPについて,視野の中心部と周辺部の感受性の違いについて検討した。周辺部刺激では,空間周波数が0.4c/degで,大きくshiftさせた時に最大のVECP amplitudeが得られ,中心部刺激(5°)では,空間周波数が3.0c/degで,1縞移動の小さくshiftさせた時に最大の感受性を示す傾向を認めた。

強度近視の臨床遺伝学的研究(抄録)

著者: 福下公子

ページ範囲:P.877 - P.878

 (1)強度近視110家系の発端者について検討した結果,優性型と劣性型では,量的形質としての屈折度と眼軸長との間に関連は認められなかったが,質的形質としての眼底病変では,劣性型の若年者に斑状病変および後部葡萄腫が発生しやすい傾向がみとめられた。
 (2)強度近視の親子例を観察すると,屈折度および限軸長が量的形質として,さらに眼底病変が質的形質として遺伝されるのではないかと推定された。

病的近視の視力予後に関する研究—眼軸長よりの検討

著者: 所敬 ,   林一彦 ,   打田昭子 ,   佐藤百合子 ,   山下牧子

ページ範囲:P.879 - P.883

 強度近視外来を1975年から78年までに来院した5歳から72歳までの−8.25D以上の病的近視,男子83名(136眼),女子120名(185眼)計203名321眼を対象とした。これらにつき,視力川折度検査,超音波による眼軸長の測定および眼底検査を行った。
 その結果,30歳代で眼軸長を測定することにより,将来の視力値の予測がある程度可能であった。すなわち,30歳代で眼軸長が27mm以下であれば,将来(50〜60歳)共0.7以上の視力を,28mm程度では将来0.6〜0.3へ,29mm以上では,0.2以下の視力となることが予測された。そして,この視力低下の主因は年齢と共に増加する眼底後極部の網膜脈絡膜萎縮症と考えられた。

連載 眼科図譜・271

Chandler症候群

著者: 猪俣孟 ,   田原昭彦 ,   荒川哲夫

ページ範囲:P.790 - P.791

〔解説〕
 Chandler症候群は,原発性進行性虹彩萎縮症の異型として知られている。
 原発性進行性虹彩萎縮症は,片眼の虹彩に急速に進行する萎縮が生じて,裂隙を形成し,同時に虹彩の周辺前癒着と著しい瞳孔偏位を伴って,難治性の緑内障をおこし,失明する原因不明の疾患である。1955年Bostonの眼科医Chandler1)が原発性進行性虹彩萎縮症の異型として,角膜内皮のdystrophyによる角膜浮腫を主症状とし,虹彩の萎縮は実質だけにおこり,孔形成を伴わず,緑内障も比較的軽い症例6例を報告した。これが後にChandler症候群と呼ばれ,定型的な原発性進行性虹彩萎縮症と区別されるようになった。

総説

糖尿病性網膜症の病因とその管理

著者: J. Campbell ,   野寄喜美春

ページ範囲:P.793 - P.799

 糖尿病網膜症は人類および現代の医学にとって引き続き悲惨な病気の一つであり,糖尿病の頻度の増加とともに,いっそう大切な疾患となってきた。さらに問題は複雑でよい医学的管理によって糖尿病患者の寿命が伸びて,合併症がふえているからである。したがってますます多くの糖尿病と糖尿病網膜症が増加し,非常に大きな公衆衛生上の問題になりつつある。
 すでに光凝固は視力の維持に非常に有効であることは多くの研究が示している。これらの治療はとくに片眼が糖尿病網膜症で失なわれ,再発性の硝子体出血が起こり,増殖性の変化があり視力の低下が進行しているときには,必須である。しかも注意深く行なわれれば光凝固による危険は比較的少ない。しかし糖尿病はまだ引き続いて医学と眼科医にとって非常に大きな問題をかかえている。

新刊紹介

—Zinn, K.M. and Marmor, M.F.(ed.)—The Retinal Pigment Epithelium

著者: 清水弘一

ページ範囲:P.844 - P.844

 ここ十数年間,螢光眼底の普及もあって,網膜の疾患といえば即網膜の血管病という見方をよくするようになってきた。この傾向はそれ自身歓迎すべきことではあるが,考えてみると少々おかしい。感覚器である眼にとって視細胞以下の神経組織が最も肝要な構成要素であり,眼の他の組織は,血管を含めこれに対する附属装置というべきだからである。視細胞と距離的にも機能的にも最も密接な関係にあるのは網膜色素上皮(RPE=RetinalPigment Epithelium)であり,これの形態・機能・病理・臨床を集大成したのが本書である。極めて独特な主題を扱った野心作であるが,その狙いは見事に的中し,価値の高いモノグラフであり,教科書となっている。密度のごく高い本である。B5(週刊誌サイズ)よりもひと廻り大きい判に二段組みでぎっしりと本文が組まれているが,多数の図版が入り,26ある個々の章が独立した読みものとなっているので,どこから読みはじめても良い近付きやすい本である。33人の分担執筆であり,Henkind, Kuwabara, Tso, Youngなどわれわれにとっての知名人も参加している。
 本書は二部に分かれる。はじめがRPEの形態と機能,後半がその病態生理と疾患とを扱かう。当然電顕を軸とした解剖が第一章だが,すぐRPEと視細胞との関係が次の章として続き,発生・比較解剖・生化学と記述が詳しい。

臨床報告

脈絡膜血管腫における螢光色素球後注射による螢光眼底所見

著者: 中塚和夫 ,   高久功

ページ範囲:P.885 - P.890

 48歳の男子に認めた孤立性脈絡膜血管腫に螢光色素球後注射による螢光眼底造影法(CTI)を行い通常の螢光眼底血管造影法(FFA)と比較検討した。
 1) CTIの初期像は,び漫性雲状の螢光を呈すがこれは螢光色素の血管流入によるFFAの早期像と異なり,腫瘍本体の染色によると推定した。
 2) CTIの中期から後期にかけては顆粒状螢光が増加するとともに斑状螢光が出現する。これは色素上皮のwindow defectに加え螢光色素が網膜神経上皮下ならびに神経上皮層の類嚢胞状浮腫に貯留するためと考えられる。
 3) CTIの螢光は長時間貯留し,時間の経過につれて不鮮明となる。
 CTIの中期以降の螢光像は,FFAの螢光像に近似してくる。このことは両者の過螢光発生機序が途中から同一であることを示唆する。
 孤立性脈絡膜血管腫の診断は,今日でも困難な問題である。CTIの実施,とりわけFFAとの併用は診断に寄与するところが大きい検査法と判定した。

外傷性三角症候群

著者: 林倫子 ,   三木正毅 ,   近藤武久

ページ範囲:P.891 - P.895

 外傷性三角症候群の症例6例につき,眼底所見,螢光眼底所見を経時的に観察し,下の以知見を得た。
 (1)6症例全例が,後極部,乳頭に接した部に網脈絡膜萎縮をきたし,この病巣部は,外傷性三角症候群の特徴と考えられる。
 (2)6症例中2例に脈絡膜血管由来の網膜下新生血管の発現をみた。うち1例は,新生血管がfoveaに向い拡大し重篤な視力障害を残した。
 (3)6症例中3例に,網脈絡膜萎縮巣に隣接する部の網膜血管透過性亢進が認められた。このような症例の病巣部では,網膜静脈の閉塞,網膜毛細血管板の破壊が認められた。
 (4)受傷後,長期にわたる経過観察により,二,三の所見の早期発見と,適切な処置を行うことが大切である。

Perphenazineによる律動様小波の変化

著者: 植松伊豆美 ,   ,   宮田幹夫 ,   石川哲

ページ範囲:P.897 - P.902

 白色ウイスター系ラットを用い,perphenazine投与による網膜劇生を知る実験を行った。ERGを経時的に測定したところ,a波,b波,o1波には影響がなかった。律動様小波o2波に最も変化が見られた。o2波の振幅はdose-dependentの減少が見られ,臨床使用量の1/4と推定される,0.125mg/kg/day投与群で可逆的なo2の振幅の抑制が見られた。これ以上の投与群での変化は不可逆的であった。o2波,o3波の頂点潜時には延長傾向が見られた。これらは網膜神経要素に何か不可逆的に変化が起っていることを考えさせた。今後の向精神楽毒性の早期検出の手段として非常にERGが有効であると思われた。

胞状網膜剥離患者における視覚の時間周波数特性

著者: 萱沢文男 ,   山本敏雄 ,   糸井素一

ページ範囲:P.903 - P.906

 胞状網膜剥離(多発性後極部網膜色素上皮症)4例8眼を対象とし,視覚の時間周波数特性を測定し,下記の結果を得た。
 矯正視力不良例では,高周波側および中間周波数域での閾値の上昇がみられ,さらに視力が低下すると低周波側閾値の上昇,peakの低周波側への偏位も認められた。
 上記の所見は光凝固または自然治癒により,漿液性剥離の消退と共に改善を示したが,視力回復不良例や中心暗点等の後遺症を残した症例ではt-MTFも異常所見を示した。
 以上のt-MTFの結果および臨床経過より,胞状網膜剥離における視力不良の原因は,重症な網膜実質内病変によるものであろうと考えられた。

GROUP DISCUSSION

弱視・斜視

著者: 加藤和男

ページ範囲:P.907 - P.910

1.Mandibulofacial dysostosisに伴う外眼筋欠損症
 外眼筋欠損症は,ときにみられるが,Mandibulofa-cial dysostosisに伴った報告はまだみられない。症例は12歳,男子で内斜視および眼球運動異常を主訴として受診し,兎眼,角膜潰瘍,下眼瞼異常,を伴っていた。また,全身的に小耳症,口蓋裂,顔面骨と下顎骨の低形成,右股関節脱臼等を認めた。手術のさいに,外直筋,下直筋,上直筋,および下斜筋の欠損がみられた。

眼の形成外科

著者: 久冨潮

ページ範囲:P.911 - P.912

 今年のGDは本会場と遙かに離れた神宮外苑の日本青年館で行われた。最初総会長は,グループ・ディスカッションは行わないで,教育講演を以てその代りをするという計画で,グループ内からその演者を推薦するようにとの連絡があった。グループ・ディスカッションとはいっても,グループが常在するわけではなく,我々のGDは会員制ではないので当日参集した方々がグループ・メンバーで,その他の時期には世話人と少数の運営委員がいるだけなのである。
 ところが後になって今年もGDを行なう事になったので,おそらく急いで会場を探すのにずい分苦労された事だと思う。

抄録

第15回日本眼光学学会

著者: ,  

ページ範囲:P.913 - P.917

特別講演
眼光学機器:二つの新しい進歩
 人間の眼は非常に鋭敏であり,しかも高度に機能的である。これには生理的に複雑なバランスがとれ,解剖的にも構造がきわめて緻密である必要がある。たとえば眼圧は正確に調節され,角膜の正常な構造と透明性は保たれなくてはならない。
 前者としては従来の圧平型眼圧計と異なったより正確な眼圧計の設計,および臨床的成績が示された。また後者はバランスされた脱水作用が必要で,これはすなわち内皮細胞の完全な機能によっている。このいみでスペキュラーマイクロスコープは角膜疾患の研究に大きな進歩をもたらした。高い解像力と広い視野をもつ新しい顕微鏡が開発され,その構成と臨床的成績が示された。

文庫の窓から

萬病回春(1)

著者: 中泉行信 ,   中泉行史 ,   斉藤仁男

ページ範囲:P.918 - P.919

 「萬病回春」は,中国,明代に襲廷賢によって編輯された医学全書である。本書には,甲寅活字(李後期)印本,古韓構字(甫宗期)印本および英祖29年?刊本等(三木栄博士著「朝鮮医書誌」)の10巻本と中国,明版やその翻刻印本の8巻本とあり,わが国においては金陵書房周對峰の新刊本や閶門書林葉龍溪重刊本による翻刻などの8巻本が多い。本書は8集8冊よりなり各巻には以下のような項目を挙げて詳述している。

基本情報

臨床眼科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1308

印刷版ISSN 0370-5579

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