文献詳細
臨床報告
脈絡膜血管腫における螢光色素球後注射による螢光眼底所見
著者: 中塚和夫1 高久功2
所属機関: 1大分医科大学眼科 2長崎大学医学部眼科
ページ範囲:P.885 - P.890
文献概要
1) CTIの初期像は,び漫性雲状の螢光を呈すがこれは螢光色素の血管流入によるFFAの早期像と異なり,腫瘍本体の染色によると推定した。
2) CTIの中期から後期にかけては顆粒状螢光が増加するとともに斑状螢光が出現する。これは色素上皮のwindow defectに加え螢光色素が網膜神経上皮下ならびに神経上皮層の類嚢胞状浮腫に貯留するためと考えられる。
3) CTIの螢光は長時間貯留し,時間の経過につれて不鮮明となる。
CTIの中期以降の螢光像は,FFAの螢光像に近似してくる。このことは両者の過螢光発生機序が途中から同一であることを示唆する。
孤立性脈絡膜血管腫の診断は,今日でも困難な問題である。CTIの実施,とりわけFFAとの併用は診断に寄与するところが大きい検査法と判定した。
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