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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科34巻7号

1980年07月発行

文献概要

特集 第33回日本臨床眼科学会講演集 (その6) 学会原著

妊娠により増悪したと思われる鞍結節髄膜腫の1例

著者: 橋本勝1 田内緑1 馬嶋昭生1 永井肇2 若林繁夫2 水野金一郎3

所属機関: 1名古屋市立大学医学部眼科学教室 2名古屋市立大学医学部脳神経外科 3名古屋市立大学医学部産婦人科

ページ範囲:P.1047 - P.1052

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 妊娠中に視力障害,視野異常が出現し,開頭術により鞍結節部髄膜腫が確認できた本邦では初めての症例を報告し,その症状出現の機序について考察した。症例は前回の妊娠中に右視力障害が出現したが,陣痛誘発の分娩後視力は回復した。今回の妊娠も妊娠後期に右視力障害,耳側半盲が出現し遂には右視力=0となり,左視力障害,耳側半盲も出現したが,分娩後左視力は回復した。開頭腫瘍摘出術を施行したが右視力の改善はなく,左視野の求心性狭窄を残した。この発症機序としては第1に妊娠による脳下垂体の生理的肥大,第二に原因は不明であるが妊娠による髄膜腫の増大が考えられ,これら二つがそれぞれ単独で作用したのではなく,両者相圧の作用により発症したと推論した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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