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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科34巻8号

1980年08月発行

文献概要

眼科手術学会

嚢内水晶体摘出術後の視力の長期予後と類嚢胞状黄斑浮腫

著者: 菅謙治1 壷坂栄江1 下地康代1

所属機関: 1北野病院眼科

ページ範囲:P.1227 - P.1231

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 水晶体嚢内摘出術の長期予後を検討するために手術後2年以上(4年2ヵ月まで)を経過した症例のみを対象として選び,術中に硝子体脱出のなかった150人213眼と硝子体脱出のあった33人34眼について術後の矯正視力と類嚢胞状黄斑浮腫を検討し,次の結果を得た。
 硝子体脱出なしに手術が行なわれた場合には術後に得られる視力は良好で,しかもその良好な視力は長期にわたって安定しているから,嚢内水晶体摘出術はきわめて優れた術式である。これは高度近視眼に対してもいえる。また,硝子体脱出があった場合にも,十分な前部硝子体切除が行なわれていて切開創に硝子体が全く嵌頓していないか,あるいはあってもその量がごく軽度になっておれば,硝子体脱出なしに手術が行なわれたものとほぼ同程度の成績が得られる。これに対して切開創に多量の硝子体が嵌頓し,術後一定の期間を経過してから瞳孔偏位をきたしてくるものでは,術後2〜4年を経過するうちに約75%で視力低下をきたす。
 手術後に得られる最高の視力は患者の年齢によって異なる。この最高視力は大部分のものでは手術後2〜3ヵ月内に得られるが,なかには2年の長期を経過してから最高の視力に達するものもある。また,術後に多発するといわれる類嚢胞状黄斑浮腫は術中に硝子体脱出がなかったものでは,術後2年以上を経過すると約1%に軽度なものが認められるにすぎなくなる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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