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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科34巻9号

1980年09月発行

文献概要

臨床報告

白内障手術後の類嚢胞黄斑浮腫(CME)に対するanterior Vitrectomy

著者: 菅謙治1 奥田隆章1 四宮栄江1 下地康代1

所属機関: 1北野病院

ページ範囲:P.1347 - P.1354

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 白内障手術の際に切開創に硝子体嵌頓が残ったために,手術後に視力低下をきたしてきた12眼にanterior vitrectomyを行ない,次の結果を得た。
 Anterior vitrectomyの効果は,白内障手術からanterior vitrectomy施行までの期間と関係があって,白内障手術後10ヵ月までにanterior vit-rectomyを行なった5例では,全例ともに視力,CMEが改善され,しかも視力は術前の最高視力にまで改善した。これに対して,白内障手術後1年6ヵ月以上を経過してからanterior vitrectomyを行なったものでは,効果は不定で,視力が改善した場合にも0.5前後程度の改善にとどまった。したがってanterior vitrectomyは,白内障手術後10ヵ月以内に行なうべきである。
 Anterior vitrectomyの適応は,輸部切開創にかなりの硝子体嵌頓があって,白内障手術後10ヵ月頃にCMEが認められるものである。一方,白内障手術後3年〜4年の長期を経過した陳10例も,螢光色素注入後15分の螢光眼底写真で黄斑部に限局性の嚢胞状螢光貯留が認められる場合には,一応anterior vitrectomyを試みてみるべきである。しかし,後極部一帯にびまん性の螢光漏出が認められる場合には,anterior vitrectomyによって視力の回復する見込みはない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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