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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科35巻1号

1981年01月発行

文献概要

特集 第34回日本臨床眼科学会講演集 (その1) 学会原著

Vitreous fluorophotometryによる血液網膜柵諸病態の研究Ⅲ—慢性糸球体腎炎(その1)

著者: 三宅謙作1 前田憲志2 今井常喜2 野村武彦2 太田和宏2

所属機関: 1眼科三宅病院 2名古屋大学分院,内科

ページ範囲:P.53 - P.59

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 慢性糸球体腎炎における血液網膜柵の変化をvitreous fluorophotometryを使用して調べた。症例は種々の腎障害を有する慢性糸球体腎炎46症例(92眼)で,このうち13症例(26眼)は血液透析に移行していた。10mg/kgのfluorescein-Na液を静注後1時間における後部硝子体のfluorescein-Na濃度を測定して2×10−8mg/ml以上を示したものを陽性と判定した。クレアチニンクリアランス値が50ml以上の症例では22例中9例が,50ml未満の症例では44例中41例が,そして透析移行症例では26例中24例で陽性であった。前者と後二者の間には統計学的有意差があったが後二者の間には有意差がなかった。
 進行例の慢性糸球体腎炎では高頻度に血液網膜柵の破壊が起りまた血液透析は破壊を修復せずむしろ進行せしむることが示された。さらに螢光眼底造影法で著明な色素漏出を示さないような多くの症例でvitreous fluorophotometryで後部硝子体に螢光色素の増加をみとめた。以上からこの方法は慢性糸球体腎炎の網膜病変の診断分類に有用であると考えた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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