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特集 第34回日本臨床眼科学会講演集 (その1) 学会原著
周辺部網膜血管形成異常と若年性網膜剥離
著者: 沼賀哲郎1 宮久保寛1
所属機関: 1群馬大学医学部眼科学教室
ページ範囲:P.65 - P.77
文献購入ページに移動網膜血管形成異常を伴う剥離が10歳代にピークを有し,若年者に高頻度に見られ,20歳未満の網膜剥離の24%を占めた。格子状変性由来の剥離は20歳代と40歳代にピークを持つ二峰性を示し,裂隙由来の剥離は60歳代にピークがあった。若年性網膜剥離では網膜血管形成異常を伴う剥離が高頻度にあり重要な発症要因の一つである。
この網膜血管形成異常を伴う剥離眼では,(1)網膜血管走行の異常(網膜血管の直線化,分岐角度が鋭く異常多数分岐),(2)耳側周辺部の無血管野の存在,(3)耳側周辺部の網膜硝子体癒着,(4)嚢胞変性の合併,(5)両眼性が特徴であり,これらの所見は瘢痕期未熟児網膜症と酷似しているが未熟児の既往がなく,生下時に酸素投与も行われていなかった。これらの特徴を有する網膜血管形成異常の中には同一家系内発症が4例あった。
以上の結果より網膜血管形成異常はその血管型,硝子体変化,網膜変化,両眼性より先天的な要因によるものと考えられる。
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