特集 第34回日本臨床眼科学会講演集 (その1)
学会原著
眼筋型重症筋無力症患者のserum angiotensin converting enzyme
著者:
小原博亨1
成木黎
神谷貞義
所属機関:
1岐阜県立多治見病院眼科
ページ範囲:P.91 - P.97
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われわれは重症筋無力症のocular typeの7例とocular typeより全身型に転進した1例についてSACEを定量した。(1)1歳6ヵ月の女子と3年6カ月の男子ではSACEの値は基準値の範囲内にあった。(2) prcdonisolon 1日35 mgを内服している49歳の患者ではSACEは35 uと基準値の範囲内であった。(3)その他の5人の患者ではSACEはいずれも40 u以上であった。(4)この8例ともAngiotensin Iは基準値(起立時1,000pg/ml以下,安静時200 Pg/ml)をはるかにこえている。このことはMyastheniagravisのACE以上の特徴であろうか。(5) Angiotensin Iが極めて高値であるにもかかわらずAngiotensin IIの値は基準値の範囲内である。基準値を越えるものはわずかに3例で,Angiotensin Iの値が7,900 pg/ml 5,460 pg/mlと極めて高値を示した幼児の症例と対高血圧治療中の2症例のみである。他の4例は基準値の範囲内にある。(6) AngiotensinIの値が基準値をはるかにこえている値であり,Angiotensin IをAngiotensin IIにcon—vertするACEの値も基準より高いにもかかわらず,Angiotensin IIの値が基準値内であることはACEの働きを阻害する物質が体内に存在することが考えられる。