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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科35巻1号

1981年01月発行

文献概要

薬の臨床

緑内障治療点眼薬の運転適性に与える影響

著者: 若松慶二1 田中衣佐子1 鈴木仁1 蒲山俊夫1 常岡寛1 環龍太郎1 小池裕司1

所属機関: 1東京慈恵会医科大学眼科学教室

ページ範囲:P.120 - P.127

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 緑内障治療点眼薬が視機能に与える影響を測定し,どの点眼薬が運転上適当であるかを知る目的で,一般に用いられているPilocarpine,1—Epinephrine,および新しい治療薬であるβ—bloker (Bupranolo1)の3種の作用機序の異なる薬を点眼し,その前後で視機能に与える影響を測定し,次の結果を得た。
(1)遠距離,中距離,近距離視力,対比視力,動体視力,三桿法においては,3剤とも点眼前後において著明な変化はなかった。
(2)夜間視力ではBupranololが他の2剤に比べ有意な改善傾向を示した。(その30秒値はpilocarpineに対してはp<0.01,1—Epinephrineに対してはp<0.05, 1分値ではPilocarpine,1—Epinephrineに対してともにP<0.05)。
(3)スタティックカンピメトリーでは,Pilocarpinc点眼により暗点の増大する症例が多く,Epinephrine, Bupranolol点眼では不変であるものが多かった。
(4)本測定結果からBupranololは副作用も少なく,夜間視力を改善させ,スタティックカンピメトリーに影響を与えることが少なく,運転時の情報処理課程と考えあわせ,緑内障患者の運転時,とくに夜間運転時の適性に与える影響が比較的良好な点眼薬であると考える。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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