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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科35巻11号

1981年11月発行

文献概要

臨床報告

外斜視優位眼決定に関する他覚的方法—衝撃性眼球運動潜時測定法

著者: 斉藤喜代子1 野崎S・綾子1 藤山由紀子1 松本奈緒美1 石川哲1

所属機関: 1北里大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.1711 - P.1718

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 4分両光電素子3個利用による新しい眼球運動記録装置を利用して,頭の動きを完全に除外し,40人の成人外斜視患者の水平10度の衝撃性眼球運動を測定した。優位眼の決定は,前もって他の方法で行われた。
1)潜時・耳側への衝撃性運動で優位眼が短縮していたものは37例(92%),非優位眼が短縮していたものは3例(8%)であった。次に鼻側への衝撃性運動で優位眼が短縮していたのは22例(55%),非優位眼は18例(45%)であった。
2)速度・耳側への衝撃性運動で優位眼の速度が大きかったものは27例(67%),非優位限の速度が大きかったものは13例(33%),次に鼻側への衝撃性運動で優位眼の速度が大きかったものは18例(45%),非優位眼の速度が大きかったもの22例(55%)であった。
3)加速度:耳側への衝撃性運動で優位眼の加速度が大きかったものは23例(57%),非優位眼では17例(43%),鼻側への衝撃性運動で優位眼の加速度が大きかったもの16例(40%),非優位眼で24例(60%)であった。
 以上から,耳側への衝撃性運動の潜時が優位眼で最も短いことがわかった。すなわち,成人外斜視患者の優位眼決定に関しては片側による耳側への10度衝撃性運動の潜時の短縮の認められる眼が92%以上の精度で優位眼であると決定できると結論された。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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