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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科35巻12号

1981年12月発行

文献概要

臨床報告 カラー臨床報告

高齢者に見られた円錐角膜—続発性円錐角膜

著者: 加賀典雄1 山岸和矢1 宇山昌延1

所属機関: 1関西医科大学眼科学教室

ページ範囲:P.1815 - P.1821

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 高齢者の7例10眼に若年者の円錐角膜とは異なる型の円錐角膜を経験した。
 本症は女性に多くみられ,30歳台で発症し,極めて緩徐に進行して50歳以降に円錐の形成を認めた。角膜の曲率は前面より後面の彎曲が強く,糸井らの指摘した後部型円錐角膜を示した。円錐の形状は楕円形を示すことが多く,円錐頂点は耳下側にずれる傾向にあり,コンタクトレンズ装用が困難なばかりか,十分な矯正視力が得られなかった。症例の半数は,デスメ膜破裂による角膜急性浮腫や角膜穿孔を生じており,比較的平穏に経過していた円錐角膜が何らかの刺激で急速に進行する可能性が示唆された。またほぼ全例に瘢痕性トラコーマ,パンヌス形成,眼瞼内反応,睫毛乱生があり,これらの病変が円錐角膜の進行に誘因となっている可能性が考えられた。治療として4例6眼に全層部分角膜移植術を行い,全例とも術後経過は良好で,著明な視力改善が得られた。
 高齢者にみられる円錐角膜は,後部型円錐角膜(糸井),楕円円錐角膜(Perry)を示すものが多く,若年者にみられる円錐角膜とは異なった形態,発生機序をもち,角膜の病変にもとづく栄養障害が原因となり発生したものと考えられ,続発性ないし変性性円錐角膜と1て別個に扱うのがよいい思われた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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