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高齢者に見られた円錐角膜—続発性円錐角膜
著者: 加賀典雄1 山岸和矢1 宇山昌延1
所属機関: 1関西医科大学眼科学教室
ページ範囲:P.1815 - P.1821
文献購入ページに移動本症は女性に多くみられ,30歳台で発症し,極めて緩徐に進行して50歳以降に円錐の形成を認めた。角膜の曲率は前面より後面の彎曲が強く,糸井らの指摘した後部型円錐角膜を示した。円錐の形状は楕円形を示すことが多く,円錐頂点は耳下側にずれる傾向にあり,コンタクトレンズ装用が困難なばかりか,十分な矯正視力が得られなかった。症例の半数は,デスメ膜破裂による角膜急性浮腫や角膜穿孔を生じており,比較的平穏に経過していた円錐角膜が何らかの刺激で急速に進行する可能性が示唆された。またほぼ全例に瘢痕性トラコーマ,パンヌス形成,眼瞼内反応,睫毛乱生があり,これらの病変が円錐角膜の進行に誘因となっている可能性が考えられた。治療として4例6眼に全層部分角膜移植術を行い,全例とも術後経過は良好で,著明な視力改善が得られた。
高齢者にみられる円錐角膜は,後部型円錐角膜(糸井),楕円円錐角膜(Perry)を示すものが多く,若年者にみられる円錐角膜とは異なった形態,発生機序をもち,角膜の病変にもとづく栄養障害が原因となり発生したものと考えられ,続発性ないし変性性円錐角膜と1て別個に扱うのがよいい思われた。
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