文献詳細
薬の臨床
ジベカシン(DKB)点眼液の外眼部感染症に対する効果—日本におけるKoch-Weeks菌,Morax-Axenfeld菌感染の現況
著者: 市川宏1 村上正建1 大石正夫2 永井重夫2 西塚憲次2 北野周作3 葛西浩3 田中直彦4 佐々木隆敏4 石川哲5 宮田幹夫5 小寺健一6 東堤稔6
所属機関: 1名大眼科 2新潟大眼科 3日大眼科 4横浜市大眼科 5北里大眼科 6阪大微生物病研究会
ページ範囲:P.1843 - P.1851
文献概要
(2) DKB点眼液の臨床効果は著効64例(57%),有効47例(42%),無効2例で,有効率は98%であった。すなわち,0.3%DKB点眼液は細菌性の各種外眼部感染症に対して,すぐれた点眼剤であることを示した。
(3)副作用は,治療の継続に支障のない軽微なものが4例,治療を中止したものが1例において認められたが,副作用に対して加療を要する程度のものは1例もなかった。
(4) Koch-Weeks菌による急性結膜炎は現在の日本においても急性結膜炎の中で重要な地位を占めており,全国的に四季を通じて発生している。その大部分は幼少年者の感染であり,その症状は古典的K-W菌感染の定型所見を呈さないため,臨床所見からは本菌の感染を推定できない。外眼部感染症の際の細菌検査の重要性を強調した。
(5) Morax-Axenfeld菌の感染も現在の日本において可成り症例がある。しかし現在本菌は古典的なBlepharoconjunctivitis angularisをおこすよりも,むしろ主として急性または亜急性の結膜炎の原因となっている疑いがある。
(6) K-W菌およびM-A菌感染に対してDKB点眼液は有効である。
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