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現行の医師法第24条(診療録の記載および保有)には『医師は,診療をしたときは,遅滞なく診療に関する事項を診療録に記載しなければならない』と定められているが,わが国の中世期においては医家はすべて診療録を作成しなければならないという法的定めが確立されていたわけではない。しかし診療に際して診療録的なものがそれなりにあったのではなかろうかと考えられる。その代表的1例として挙げられうるものに曲直瀬道三(玄朔)の記した「医学天正記」がある。
「医学天正記」については矢数道明博士を初め先輩諸先生の研究・考証により衆知の通りであるが,これは曲直瀬道三(玄朔)が天正年間より慶長年間にかけて,いろいろな患者を実際に治療した際の記録で,病目およそ60余を挙げ,患者の名前,年令,病状および治療法等を記述したもので,慶長12年(1607)に著わされ,乾巻(上,下),坤巻より成る。
「医学天正記」については矢数道明博士を初め先輩諸先生の研究・考証により衆知の通りであるが,これは曲直瀬道三(玄朔)が天正年間より慶長年間にかけて,いろいろな患者を実際に治療した際の記録で,病目およそ60余を挙げ,患者の名前,年令,病状および治療法等を記述したもので,慶長12年(1607)に著わされ,乾巻(上,下),坤巻より成る。
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